自賠責は被害者保護の土台
自賠責保険は全車両加入が義務付けられた強制保険で、被害者救済の最低限ラインを担います。目的は迅速な補償であり、複雑な争点を前提としない設計です。そのため、補償枠は限定的で、重大事故や長期通院では任意保険や加害者側負担との調整が必要になります。
実務では、まず自賠責でカバーされる範囲を把握し、超過見込みがあるかを早期に見立てることが重要です。治療費や休業損害が想定より増える案件では、途中から資金繰りや立替負担が課題化するため、先回りして連携体制を整える必要があります。
補償項目と限度額の考え方
代表的な区分は『傷害』『後遺障害』『死亡』です。傷害部分では治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料等が対象になりますが、上限枠の中で配分されるため、特定費目だけを見ても全体最適になりません。後遺障害や死亡は等級・事案に応じた別枠評価となり、必要資料の質が認定結果に大きく影響します。
限度額に近づく案件では、どの費目がどれだけ使用されているかを月単位で確認する運用が有効です。これを怠ると、終盤で治療費対応が先に尽き、慰謝料や休業損害の交渉余地が狭まることがあります。
不足分をどう埋めるか
自賠責で不足する部分は、一般に任意保険の対人賠償や加害者本人への請求で補う構造です。過失割合や約款条件により、全額が自動的に埋まるわけではありません。したがって、早期から『不足見込み』を把握し、必要資料を積み上げることが重要です。
特に長期通院や就労制限が長引くケースでは、症状証明・就労影響・生活制限の記録が不足しがちです。結果として不足分請求の説得力が下がるため、主治医意見と日常記録を連動させて管理する運用が推奨されます。
具体例・計算例
例: 傷害枠内で治療費60万円、休業損害30万円、慰謝料40万円の場合、合計130万円となり、上限を超える部分の調整が必要になる可能性があります。
超過見込み時は、任意保険会社との費目別整理を早期に開始することが実務上有効です。
事故後にやるべきこと — 7つの鉄則
よくある質問(FAQ)
Q. 自賠責だけで全て解決できますか?
A. 軽症短期案件では可能な場合がありますが、長期化や後遺障害案件では不足しやすく、任意保険等の調整が必要です。
Q. 被害者請求と一括対応はどう違いますか?
A. 一括対応は任意保険会社が窓口となる方式、被害者請求は被害者側が自賠責へ直接請求する方式です。
Q. 後遺障害認定の資料は何が重要ですか?
A. 診断書、画像所見、症状推移記録、日常生活への影響説明の一貫性が重要です。